会頭メッセージ

日本薬学会のプレゼンス向上を目指して

日本薬学会会頭 髙倉 喜信

 2019年度より日本薬学会会頭を拝命致しました髙倉です。日本薬学会は、1880年(明治13年)4月に創立された約140年もの長い歴史と伝統を誇る我が国有数の学術団体です。初代会頭の長井長義先生の薬学に対する情熱に端を発した本学会は、歴代の会頭の努力により長年にわたってその歴史と伝統が継承されると共に、時代の変遷に伴って大きく発展してきました。現在、17,000名を超える個人会員、200以上の団体・企業の賛助会員を有し、「薬学」という共通のキーワードのもと、大学、企業、医療機関、各種研究機関、行政機関等、広範な専門領域からの多様な会員により構成され、学会活動が展開されています。会員の皆様のご支援・ご協力に支えていただき、日本薬学会のプレゼンス向上を目指して精一杯努力していく所存です。

 日本薬学会はChem. Pharm. Bull.(創刊1953年)、 Biol. Pharm. Bull.(同1978年)、 薬学雑誌(同1881年)の学術誌3誌、ならびに学会の情報誌としてファルマシア(同1965年)を発行することにより、薬学の進展に貢献してきました。また編集体制を充実させ高質な情報提供を図るとともに、学術誌の査読・編集・出版の迅速化を図ってきました。英文2誌に関しましては、科学技術振興機構(JST)の協力を得て、J-STAGEを利用した画面インターフェースの開発を促進し、閲覧の利便性の向上を図りました。更なる情報発信機能の強化のために、生物系のオンラインジャーナルとしてBPB Reportsを2018年10月より刊行を開始しました。

 学術講演会の開催は、本学会の最も重要な学術活動の一つであり、学会創立当時から開催されてきた年会は今年千葉で開催されましたが、学会自体が重ねてきた歳月と同じ139回目を数えました。また、本学会は各専門領域別の10の部会および全国を地域別に8つに分けた支部をそれぞれ縦糸・横糸として設け、ダイナミックな活動を展開しています。部会は、薬学研究の高度化と次世代を担う優れた人材の育成を共通の主要課題とし、シンポジウム、フォーラム、研究会などを通じ、各部会の特長に合わせた活動を進めており、支部は、各地域の会員と日本薬学会との接点の場として、地域薬剤師会との交流をはじめ地域に密着した積極的な事業展開を行っています。このように、本学会は広範な視点から薬学研究の活性化を目指した学術活動を展開しており、今後もこれら特色ある活動を積極的に支援していく予定です。

 次世代を担う若手薬学研究者の育成は、今後の我が国の薬学研究の発展のためには必須の課題と考えています。本学会では、2015年から新たに「長井記念薬学研究奨励事業」を開始し、4年制博士課程・博士後期課程を対象とした奨学金制度を設けました。既にこの制度のサポートを受けた大学院生が博士の学位を取得し社会で活躍し始めていますが、今後もその一層の充実を図りたいと考えています。年会、部会、支部会における奨励賞、優秀発表賞などの顕彰活動も学部生、大学院生を含めた若手研究者のモチベーション・インセンティブを高揚させるための有効な方法と考えられますので、継続的に進めていきたいと思います。また、高校生をはじめとする若年層を対象とした、薬学を紹介する啓発誌の発行などでもこれまでもより早期から薬学に対する関心を高める活動を行ってきましたが、こうした努力も更に重ねていきたいと思います。

 会員の皆様の温かいご支援を何卒、宜しくお願い申し上げます。